1957年、ヒマラヤ登山隊員になった私は、ヒンヅークシュ山脈の寒村の屋根におからのようなものが並べて干してあるのを見た。村人から1つ分けてもらった。パサパサで山羊の毛がたくさん入ったチーズであった。昼飯のチャパティと一緒に食べたが、塩分が少ないからか味はもうひとつであった。人夫衆の村人はギョウジャネブカをすりつぶし岩塩と唐辛子を加え、それを水で煮た山羊の腸につけて食べていた。これは美味であった。

私の専門の森林生態学の立場から言えば、牛や羊は光合成植物に寄生する消費者(第2次生産者)である。そこでの肉と乳の関係は、樹木における木材と果実の関係に似ている。果実や乳のほうが生産の回転速度が速く、安定的に利用できる。宗教的・経済的・栄養・味覚などの観点からすると、それぞれ事情は異なるだろう。